とある失敗
匿名です。皆さんの体験に照らして、「あるある、そういう漫画」と思いながら読んでいただければ。
とある友人の嘆き。凄く好きな作家さんがいて、その人の初連載を楽しみにしていて。蓋を開けてみたら、いまいち失敗。本人的には、この人の一番好きだったとこが全然出ていない、と。
どれどれと読んでみた感想。うむ、確かに。何言いたくて描いているのか、さっぱりになってる。ただなんとなく描いているだけだ。ここからは想像ですが。起きがちな事じゃないかなあ、と。漫画業界の抱える問題がここに。
要するに、とにかく連載となったら人気取らなきゃいけないんですよ。アンケートがすごく気になるわけ。読み切りの時はそこで完結しちゃうから、オチまでがっちり、その漫画の世界を作り上げることが出来るけど、連載になるとその辺あいまいに。
そうすると、とりあえず人気出そうな要素を入れたくなってくる。テーマもあいまいになって、何をお客さんに見せたかったのか自分でも分からない、という状態に。主導権を手放しちゃうわけです。漫画を描いて、出来がよかったので面白くて、その評価として人気が出るのが本来だけど、人気を取るために漫画を描く状態。
その漫画は少女漫画で、男性の友人が何で入れ込んでいたかと言うと、心の機微をいい雰囲気で描いていて、男から見ても、この主人公の女の子可愛いと思えたからなんですが。連載になったらそれが消えてる。
キャラ配置でまず失敗。いろんなことに対応できるように人物配置されているので、役割がかぶってる。例えばドロドロのラブ四角関係とかにも対応可。
確かに少女漫画で三角関係とか四角関係とか描くと人気取りやすいですけど、この人そういうタイプじゃないし。でもなんとなく出しとけ、みたいな。明らかに一人余分だ。下手すると二人要らない。絞った方が、漫画としては絶対面白いし、この人の持ち味も出る。
これだけ漫画が世にあったら、中途半端なものはいらない訳で。むしろ人気取れそうとか度外視して、その人の個性を最大限引き出した方が、読む方としても選びやすいんじゃないかと常々思っているのですが。きついこと言えば、ONE PEACEは必要だけど、ONE PEACEに似たそれよりつまらない漫画はいらないでしょ?
でも現場では。とにかく数字のインパクトでかいですからねー。知らず知らずのうちに、思考回路が数字に支配されていくんですよねー。で結果、「そんな漫画、自分で買いたい?」と言いたくなるような事態が。
そんな現場にいるのかと思うと。怖いですね。気をつけよう。
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