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2005/03/14

積み木崩し

某新連載を読んで思ったこと。……前にお試し読み切りで載った時の方がよかったな、ネーム。

一応説明。漫画用語でネームとは、いろんな意味で使われてます。一番厳密な意味は、セリフのこと。転じて原稿に描く前に、別の紙に描くラフのこと。絵コンテとも言います。「ネームがうまい」と言う場合は、話の筋がよく、演出も巧みで台詞回しもよい、ということです。

漫画というのは、コマで仕切られたセリフ付きの絵がたくさん並んでいて、それを順序どおりに読んでいく。前のコマの印象が、読者の意識の中に残っていて、それを受けて次のコマの印象が積み重なっていく。そうしてお話が語られていくのです。その計算をするのが、ネーム。

土台から一生懸命積み上げていって、大きな建造物を作ろう、という行為。うまくやるとコマ同士が相乗効果をもたらして、物凄い感動を読者に与えることができたりする反面、失敗すると無残。読むのも苦痛に。

相乗効果の怖さを知った体験談。とあるネームで、編集さんから直しが出て、直した後ナベ先生とスタッフのみんなに見てもらった時のことです。ナベ先生開口一番。

「よくないね。直す前の方が全然よかった。特に出だしキャラ全然立ってないよ」 ええー!? 他のみんなも?

出だしの部分、実はほとんどいじってないのです。編集さんの注文で、決め絵を大きくするために、コマの配置を変えただけ。ただ、決めゴマ大きくするために、当然割を食って他のコマが小さくなって、さすがに読みづらいから一コマだけ削除した。

「鳴戸君(主人公)も行くんだ。よろしくね」とヒロインが言うコマ。元から凄いちっちゃい繋ぎのコマ。ところがこれがなくなったとたん。読み手には、説明ばっかりで、キャラクターの人間味が全然ない印象になってしまった。慌てて元に戻しました。(そんなこともあったんですよ、米田さん)

それぐらい複雑繊細精緻なものなので、下手にいじるとガタガタに。直すのが結構難しい。しょっちゅう迷宮入り。

特に、もうちょっとで面白くなる、及第点すれすれみたいな物が迷いやすい。ある程度まで積んでいた物を無造作に扱うと、ガラガラと崩れて、むしろ悪くなる。

例えば。主人公が目立ちたいのは、一目惚れした女の子にいいとこ見せるためだったんですが。多分それではインパクトに欠けると思ったのか、複雑で不幸な生い立ちを与えた。

でもそうすると、本来ならキャラの性格も行動も、それに応じて変えないと不自然。育ちが影響しているはず。でもそこは変えてないから、説得力が全然ない。設定に説得力がないから、それによって生じている動機にも、説得力がない。「どうしても目立ちたい!」という主人公の気持ちが軽く見える。

これだったら、「女の子があまりに可愛かったので、お近づきになりたくて」頑張る方が、よっぽどリアリティーがあった。代わりに無くした筈の拳法使いの設定が、中途半端に残ってて、もうチグハグ。まずい直し方しちゃったなあ。連載なんで、何とか頑張ってリカバーするしか。

うわー……。人のこと言ってたら、怖くなってきた。なってないよね…?

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