川瀬浩 野望を語る
野望を語るには今がベストだと思うんですよね、オイラ。
だって、連載載り始めてからだと、「あんなこと言ってるけど、漫画はこれか……。可哀想に、ムリっぽいな」と同情されてしまうかもしれないし。最悪、打ち切られてから書いちゃったら、負け犬の遠吠えにしか聞こえなくなっちゃうし!
という、なぜか弱気な理由で(笑)、野望を語ってみたいと思います。
この道に進んだ始めのころは、若人らしく「トップを取って大成功」を夢見ていたのですが、最近は。野望と言ってるくせにいきなりしょぼいな、とお思いでしょうが、これには理由があります。「トップ」って、何だろう?
一番分かりやすいのは、一番売れることを目指すこと。正直、売れ易い漫画の形というのは存在します。少なくとも業界内コンセンサスとして、「今一番売れ易いとされてる漫画の形」はある。
でも、一番のセールスを上げてる漫画が、どの読者にとっても最高の漫画だとは限らない。自分自身にとってもそう。
「漫画って、こういうもんじゃん?」と言われると、確かにそれが一番手堅いよな、と理性は納得するのですが。モチベーションが、いまいち……。積極的に挑戦したい、という気にはならない受身の状態なのです。
でも、手堅くなくても、好みの漫画が少なくて困っている、自分みたいな読者がいるのなら。売れづらいというのを克服して、そんな人達に喜んでもらうために頑張る方が、俄然、燃えてくる。
そんな意識のずれが顕在化して、ここ何年か困ってたのです。もちろんその前に、技術が至らないという問題があって。でもそこを頑張ってクリアすると仮定しても、自分がトライしたい漫画の最終形態を、向こうに認めてもらえない。軌道修正しない限り載らないよ、というとこに落ち着いちゃう。
だからと言って、相手に自分の理想に理解を求めるのは不当だ。向こうには向こうの事情があるんだから。それが分かるぐらいには、大人に(笑)。で、野望を持ったのです。自分で何とかしよう。そういう漫画を描ける環境を自分で作ろう。それでご飯さえ食べられれば、十分成功だ。
例えるならば、スタバの社長より、こだわり喫茶店のマスターになって、お客さんが喜んでくれることを目指すのだ。少数派かもしれないけど、同好の士は絶対にいる! しかもきっと、困ってる!
どういう種類の漫画か、「萌え」みたいに一言で言い表せれば、分かりやすいんですが。とりあえずここで、自分の好みやらポリシーやらを書き散らしているので、なんとなく伝わったりしないかなー、と淡い期待。HPに載せてるのもそういう種類の物件。さらに、幸運なことに自分の思い通りに描ける状態で、連載も取れて。
とりあえず、「こだわり喫茶店」に必要なものは、形だけでも揃った。あとはこれを大きく育てていくだけで、まさに自分の腕次第。自分が信じてる漫画を、それがお好みの人に届けて、喜んでもらえれば幸せだ。そのための苦労なら、納得ずくで頑張れる。
それがいつか大きな流れになれば、なおよい。そのための捨石になるなら、オレは……。いや、捨石はやっぱ嫌だな。ご飯はちゃんと食べたいぞ(笑)。
という訳で野望を語ってみました。もし漫画なりHPなりを覗いてみて、「ちょっと、好みかも」と思って頂けましたなら。何かの御縁でございます。ぜひ、御贔屓に。
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