ハーメルンのバイオリン弾き 6
ハーメル回顧録の6。前回まではカテゴリー、ハーメル回顧録でどうぞ。
パーカスが、クラーリィが呟いています。「来たか、”千億の絶望”どもめ」
アシスタントも呟いています。「ほんとに絶望じゃよ!」
だってもうモブの多さときたら……。メインキャラは先生が描くわけですが、ザコ兵どもはアシスタントが描くわけですよ。”千億の絶望”と称される魔族の大群と、それを迎え撃つスフォルツェンド魔法兵団全勢力。描いても描いても終わらない。
これがキャラ同士1対1のバトルなら楽なんですが。キャラ描く先生が苦労するだけで、背景は集中線や流線ばっかりになるし(笑)。戦争になっちゃうともう大変。街は吹っ飛ぶ、人々は逃げ惑う、アシスタントは泣きそう。
しかし半泣きの苦労は報われました。この第二次スフォルツェンド大戦は非常に評判がよかった。と言うより、この辺で人気がブレイクして、ガンガンの看板作品のひとつにと成長していったのです。
長いストーリー漫画で人気が出るものは、最初の大きな山場でブレイクする場合が多いようです。それまでじっくりキャラクターを育ててきて、読者との距離を近づけておいて、いざ、というパターン。
人気を狙って最初から大仕掛けを打つ漫画も多いけど、キャラが育ってないことには意味がない。事件だけではニュースの見出しと同じです。人物に密着して、ドキュメンタリーの状態に持ち込んで初めて、感情移入して見ることが出来る。
ハーメルは5巻までがっちりその辺積み込んであって、それが花開いた。
編集部のナベ先生の扱い、変わったことで人気を実感。前の年の忘年会では、ナベ先生はその他大勢だったのです。僕らと一緒に楽しく騒いでいた。ところが。
この年の忘年会では編集さんががっちりガード、偉い人が入れ替わり立ち代り挨拶に。ご飯を食べる暇もなくて、帰りのタクシーで「腹減った、死ぬ……」と呟いていました(笑)。人気商売は怖いです。人の価値まで変わっちゃう。
さてこの巻は見せ場いっぱいですが、次の巻に繋がっているのでそちらでまとめてコメントするとして。この巻で「ハーメルンのバイオリン弾き」全体を見渡しても屈指の重要人物、この人から全てが始まったという(笑)史上最高の発明家、オリンじいさんが登場します。
何しろこんな変態爺さんのくせに、昔は美形の天使です。神様から魔族を封じるように命ぜられて地上に降りてきた勇者だったのです。嘘みたいなほんとの話。
ハーメルが大魔王ケストラーの血を引き、双子の妹サイザーが天使の血を引いてるとすると、確かに母方に天使がいないと辻褄が合わない。でも何もあの爺さんじゃなくてもねえ(笑)。
面白ければ何でもありなところも、この漫画のすごいとこですね。
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