遙か彼方の……
これもボツネタ。最初の企画は「ヨコハマ買出し紀行」みたいなのが描けるか、と言う担当さんの問いかけから。僕は即答。「無理です」
だってあれ、画力ないと間がもたないですよ。大きな事件は起きないのに、雰囲気で引っ張ってる。かなりの表現力。オイラにゃ無理無理。
しかし、家に帰る途中で思いつく。待てよ、センスで引っ張ろうとするから苦しいんだ。SFの仕掛けを入れて、話の構成で引っ張るようにしたら出来るんじゃないか……。
で、打ち合わせが始まったのですが、大苦戦。もともと、最初のコンセプトですれ違ってる。僕はSFとして引っ張ろうとしているんだけど、担当さんとしては、アルファさんのようにキャラ人気が出て欲しかったらしく、パン屋さんにしよう、フリフリのエプロンを着せよう、女の子を増やそう……。結局最後の編集長の一言が「何にも起きないね、これ」
…だって! 元が「ヨコハマ買出し紀行」だし! もともと何か大事件が起きるような話を考えてないし! そんな僕の心の叫びはむなしく宙に消えました。
しかし後々客観的に見れるようになった頃、自分で見ても。これは、載らない。載るとしたら自分が美少女絵師と呼ばれている時だけだ。
さらに言えば、このコンセプトじゃ確かにメガヒットは無理だな、と冷静な分析。でももし最後まで付き合ってもらえたら、その人の心に残る作品に出来そうな予感だけは、不思議と消えないのです。こりゃ描くしかないな、と。
そこで初志貫徹、これはSFなのだと描き直しました。目標は「SF名作シリーズ」です。いや、決して「俺の漫画って名作だよな」と奢っているのではなく(笑)。「SF/名作シリーズ」と表記するのが正しいかな。
要はアニメの「名作シリーズ」のように地道な日常を積み重ねて、大きなドラマにしたいなと。イメージとしては「赤毛のアン」。マシューが死ぬとこ、泣けるんですよねー。
でも描いて思った。やっぱりそれでも、画力要るよ、これ……。精進、精進。
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