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2004/11/05

ブラックジャック

TVアニメで始まったためか、いろいろなところに載っています「ブラックジャック」。

一応説明しておきますと、「ブラックジャック」は、漫画の神様、手塚治虫先生が描いたお医者さんの漫画です。医師免許を持たないもぐりの悪徳医師ブラックジャックが、実は人情にあふれていて、というお話。現在の多くのお医者さんに影響を与えたと思われます。

僕の友人にも、「ブラックジャックのように医者になって、法外な治療費を取って儲ける!」と宣言、ほんとに医者になったやつがいます。が、後ろ半分は冗談だったようで、真面目に働いているそうです(笑)。

昔のチャンピオンコミックスの表紙には、その漫画のジャンルが示されていましたが、「ブラックジャック」は当初、「恐怖コミックス」でした。ホラー&サスペンスの扱い。後に「ヒューマンコミックス」に。

子供のころマジで怖かったもん。お話のテーマを読みぬく前に、がっちり描かれた内臓が怖くて怖くて。手塚先生は実は医師になる勉強をしていたので、細かいところまでしっかり描かれていました。その辺がホラー。そういうショッキングなところから入って、実は人情話というのがこの作品の肝ですね。

手塚先生すごいなーと思うのが、鉄腕アトムのような漫画を描いておきながら、ブラックジャックのような漫画も描いているところ。最近は生涯一ジャンルみたいになってしまうことが多いのに。

しかも常に先駆者です。ストーリー漫画という形式自体も先駆者だし、SF漫画の先駆けだし、そしてブラックジャック。今当たり前のようにある医者の漫画も、この成功がなければあったかどうか。井上雄彦先生がスラムダンクの巻末に書いていますが、バスケ漫画は当時鬼門で敬遠されてた。スラムダンクの成功で、当然ありな一ジャンルになった。ジャンルに対して業界は保守的なので。

実際医者の漫画難しいですからね。まず読者の知らない病気の説明しなきゃいけないし。さらにその治療がいかに大変か、やったことない人に伝えなきゃいけないし。さらに医師のテクニカルなとこだけ伝えてもお話にならないから、同時進行で人間ドラマを作らなきゃいけないし。ネームとしては難易度の高いジャンル。本来敬遠されがち。

その難易度の高いお話を、週刊の短いページ内で描き切ってるからすごいです「ブラックジャック」。読み切り形式は実はすごく難しいのに。さすが神様。

今週載ってないんだ、チャンピオンに。違う人が描いたのは載ってるけど。「ふたりの黒い医者」ですね。

この別人仕様ブラックジャックを例にしますと、ラストのコマ。せっかく治した患者が事故で亡くなってしまって。手塚先生は階段で、ブラックジャックを下、ドクターキリコを上に配置して、「それでもわたしは人を治すんだっ。自分が生きるために!!」というセリフで締めています。

これは手塚先生のテーマである、生死に対する無常観が反映されています。医者は本来無力なんだということと、それでも諦めないんだという二重の意味。ブラックジャックが下にいることで、セリフに別のニュアンスを加えているわけです。

さらに言えばその階段はお寺の階段。ラストシーンの前にドクターキリコは、「生きものは死ぬ時には自然に死ぬもんだ……。それを人間だけが……」とつぶやきながら、階段に落ちていた蝶の死骸を風に散らします。短い読み切りではこういう演出が出来ないと、内容の薄いものしか描けない。

それに対してリメイク版ではすれ違っているだけ。力の差です。

ちなみにブラックジャックが法外な治療費を吹っかけるのは、幼少の凄絶な体験から命に値段なんかつけられないと思っているからで、貧乏人が相手の場合はそれなりのお値段。要は命が何物にも替えられないんだという気持ちを金で表せということで、この話では兄弟の気持ちに免じて格安で引き受けてますが……。

この人、イヤミ言わせちゃってるよ。全然読み取れてないんだね。別に新しく描き直さなくても、再録続けてくれればよかったのになー。

もし未読の方がいたら、お薦めです。もちろん、手塚版を(笑)。命のはかなさや尊さ、その他いろいろなテーマがぎっしり詰まっていて、感動すること間違いなしです。こういう名作は後世に残っていかないと。

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昨日たまたまアニメの「ブラック・ジャック」を見かけました。 ジャンヌダルクだあっdklみえmcん!と思いつつ、思い出すのが小6の時のこと。 国語の教科書に手... [続きを読む]

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