ラッキーナイト カスタードくん
漫画で交遊録第七回。「ラッキーナイト カスタードくん」(2004/10~。渡辺道明。ポプラ社)
ろくに手伝ってないじゃん、自分の漫画描いてたんだから! …ってもういいか。自分の企画倒れっぷりに突っ込むのもあきちゃった(笑)。
めでたく僕が掲載された月刊プレコミックブンブン10月号。そこに載っている新連載が、師匠渡辺道明先生の「ラッキーナイト カスタードくん」。師弟ともに記念すべき号になったわけですが。
まさか一緒に載るとはなあ。僕がガンガン飛び出してだいぶたつし、ナベ先生はガンガンの新連載の企画立ててたから、一緒の雑誌なんて考えてなかったのに。向こうがリテイク出たりして、もつれているうちに急転直下、新連載決定。
いざ雑誌に載って、カスタードくん読んでて思いました。うわー、新鮮。自分の知らないネタばっかりだ!
いや、ずーっと一緒に仕事していて、「ハーメルンのバイオリン弾き」の途中辺りからブレーン的役割になっていたわけですよ。「PHANTOM;DEAD OR ALIVE」にいたっては完全に原案協力として、最初に打ち合わせしているわけで。どういうふうに話が進むか、前もって全部聞いちゃっている状態。
それが今回は仕事途中で見せてもらうことはあっても、その辺は知らないまま。これ、10年ぶりぐらいじゃないか?
厳密には途中で見ちゃってるから違うんだけど、作者側から読者側に移動した状態。すごいなーナベ先生。発想が跳んでる。思いつかないぞ、ふつー。
渡辺先生はあんな漫画を描いているので(笑)、ひどい人なのではないかと誤解を受けることが多いようですが。ガンガンで初めて連載したときも、他の作家さんが、ヒロインにこんな酷い事をするんだから鬼畜なやつに違いないと信じていたそうな。当時「Z MAN」を連載していた西川先生が言ってました。
確かに漫画には本人が出ます。作家さんに会うようになるとそれは思います。が、そんな単純じゃない。すべてのキャラクターがある意味作者の分身で、いろんなところにちょっとずつ顔を出す。チョコ・パ姫もナベ先生だし、カスタードくんもナベ先生。
具体的に言うと、チョコ・パ姫のいじめてるとこじゃなくて、変なこと言ってるところ。そして、カスタードくんがいじめられているところ。ナベ先生、漫才で言うと「ボケ」なんですよ。トンチキなこと言ってきついツッコミ受けるタイプ。
それは本人自覚と誇りを持っていて。ボケてていいなら永遠にボケられるぞと言っていたり、ボケられないと死んじゃうと言っていたり。アシスタントに入って最初に怒られた(?)のは僕がツッコミ出来ないことでした。仕事振りじゃなくて(笑)。
だからナベ先生にしてみれば、いじめている方じゃなくて、いじめられている方に視点があって。そして根っこは熱く、人間頑張ればどこまでも成長できると信じてる人だから、そこからすごくたくましく育っていく。フルートが最後人食いシャチブルーサンダーと拳で語り合い友情が芽生えたり、タカシ君が地獄に引きずり込もうとするおばあちゃんの霊を力ずくで追い払ったり。……変に聞こえるけど、本人いたって真面目なんですよ?
これだけボケているのに本人大真面目なところも漫画に出てますね。最初面食らうんですが。真面目な話してるのにボケ始めるから。でも茶化してるつもりじゃなくて、ボケをはさんでそれが例え話になって真面目な話に戻ってくる。ストーリー展開がそんな感じ。
そんなナベ先生だから、きっとカスタードくんもたくましく成長するはず。チョコ・パ姫のいじめから逃げないでいるうちに、生半可な攻撃の効かない体になったりとか。
……そのはずですよね、ナベ先生?
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