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2004/10/21

ハーメルンのバイオリン弾き 1

すごいことだと思うんですが、このブログに「ハーメルンのバイオリン弾き」を検索していてたどり着く方が結構います。終わってから、もうだいぶ経つ漫画なのに。

それだけ愛されてたんだなあ。関わっていた者の一人としてうれしく思います。あのときの苦労は無駄じゃなかったんだ。あまりのスケジュールのきつさに、トイレで便器を抱えて意識を失ったりとか。(実話)

それと同時に使命感が。世の中にハーメル情報を求めている人がこれだけいるのであれば、お応えしなければいけないのではないか。世界で2番目にハーメル情報を持つ者として。(1番はナベ先生本人。でも書かないと思う。苦手だから)

というわけでシリーズ・ハーメル回顧録を企画してみました。新カテゴリーにして、そこで通読できるようにしときます。各巻ごとに、思い出やらそこで教わった漫画の秘伝(?)やらを書いていこうと思います。こんなこと考えてたんだと楽しんでいただければ幸いです。

それではまず、1巻から。レッツゴー!

調べると出てくると思うんですが、渡辺先生はエニックスが企画したファンタジーコミック大賞の受賞者です。雑誌を立ち上げるために新人を募集したわけ。西川先生、柴田先生、松沢先生がここでチャンスをつかんでます。

ここで受賞した作品が「ハーメルンのバイオリン弾き」。そのまま雑誌の創刊から連載となるわけですが。実は受賞した話と連載第一回は違う話。二回目が受賞した話です。描き直してありますが。ここの裏話。

渡辺先生の師匠はあおきてつお先生。で、連載が始まるに当たって、師匠からアドバイスがあったそうです。「ファンタジー漫画は読者が入りづらいから、なるべく要素を減らして、入りやすいところから始めなさい」

今でこそ、猫も杓子もファンタジー、設定が勝手に作れて楽チンだ、みたいな状態ですが、当時はまだ少なかった。設定が多くなると読者の負担になるよ、というアドバイス。そこで山の中の一軒家、ヒロインは次回登場ということにしたわけです。

これは現代でも生きているアドバイスだと思います。ファンタジー漫画に対する抵抗感は薄らいでいますが、要するに無駄な情報で読者に負荷をかけてはいけないということ。連載なんだからおいおい見せていけばいいわけ。

でも実際は情報てんこ盛りで始まる漫画が多い。結局早く人気が欲しいんですよ。だからおいしいネタは先に見せなきゃ、という描き方になる。で、読みづらい。別に好きでもない漫画を苦労して読みたくないから、そこでもう読まない。

……いけね、反省しよう。

設定情報てんこ盛りでも成立する場合もあります。読者に概知な情報の場合です。SFファンならSF設定の詳しい説明が要らないので、どんどん詰め込めたりとか。通な読者はそこを読み飛ばせるから平気。

現在ヒット作がなかなか出づらい状態ですが、この辺にも一因がありそう。通な読者向けに描けば、その他の読者は入りづらくて当然。裾野はなかなか広がらない。そこをうまく描いた人が成功している。

ハーメルはそこで設定をシンプルにすることによって、漫画として面白いシーンをたっぷり描いた。ハーメルの過去なんて1巻の最後、ほんのさわりの伏線しかありません。代わりに伝説的シーンの数々、史上初鳩食う勇者とか、史上初ヒロイン人身売買寸前とかが入ってくる。

みんながこの漫画を楽しんでくれてから、少しずつ風呂敷広げていく作戦だったわけですね。

次回、2巻ではその広げ始めた風呂敷、新キャラライエル登場です。

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