母をたずねて三千里
CATVで見ています。「母をたずねて三千里」。
「母をたずねて三千里」は昭和51年に放送された、日本アニメーション制作の「世界名作劇場」第二弾。アルゼンチンに出稼ぎに行ったお母さんが音信不通になって、マルコ少年がイタリアから一人で探しに出かけるお話。
もしあなたがスタジオジブリのアニメが好きなら、絶対お薦め。何しろ演出高畑勲、場面設定宮崎駿。いつも2時間ぐらいしか見れないジブリのアニメが一年分、52話。26時間も見れるのですよ。
「世界名作劇場」は日曜日にやっていたお茶の間アニメ。家族みんなで見られるよいこのアニメ。若い人だと、それ以上の印象がないかもしれませんが。
正直言うと「世界名作劇場」は、シリーズ前半のほうが当りが多い。後半はいわゆる「いい話」、いい子ちゃんな話が増えてる。私見で言わせてもらえば、シナリオがちょっと雑になってて感情表現がいい加減。地味な上に雑という見所のない状態の作品になってる。
それに対してジブリアニメと言えば、他のアニメのようにビームが飛び交ったり宇宙を飛び回ったりという派手なシーンは控えめ。あることはあるけど、時間的に言えば大半が生活芝居で、じっくりとキャラクターを見せていく。キャラクターに感情移入させてから、トトロが飛んだり、ハクが変身したりするわけで。
雑だと感情移入できないし、そこまで間が持たない。そんなアニメは多いです。そこを細やかな演出で引っ張っていくのがジブリアニメなわけですが。
それはジブリになってから始めたことじゃなくて、この頃からやってるのですよ。すっごい面白いですよ、「母をたずねて三千里」。はっきり言って子供の見るもんじゃないね。もったいない。子供のころ、リアルタイムで見ていたときには読み取れなかったことがたくさんある。
一話目なんて特に、完璧。お母さんが出稼ぎに行くことを、家族でマルコ少年だけが知らない。かわいそうで言い出せない。そんなときに家族で行く最後のピクニック。表向きは楽しいお出かけだけど家族の心のうちは揺れ動いている。
そしてお母さんが行ってしまうことを知るマルコ。へそを曲げてもう口もきかないでいたけれど、とうとうお母さんの出航する時がやってきて……。何度見てもここで泣ける。
ここからマルコが頑張ってアルゼンチンへ渡り、お母さんを探すわけですが、それがまた波乱万丈で。よいこのアニメなんて生ぬるいもんじゃないですよ。マルコが死んじゃうー!? と食い入るように。いや、当然オチは知ってるんだけど、それでも手に汗握る展開。
面白いですよー、見たことないならぜひ。
ちなみに絵コンテで富野喜幸氏も参加しています。この3年後、あの「機動戦士ガンダム」を作ります。また富野の回がいい出来で泣かせるんだ。この頃は天才だったんだね……。
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コメント
初めまして。マルコの検索により参りました。
「母をたずねて三千里」は名作ですよねえ。今の子供達もマルコの姿を見て、家族への愛、他者への思いやり、そして根性を育んで欲しいと思います。
この作品で忘れられないのは、やはりアメデオの存在ですね。この愛らしい子猿がいてくれただけで、マルコの心はどれだけ救われたでしょう。日頃ナニ考えてるのか掴めないすっとぼけた猿ですが(笑)、子供と戯れる姿、あくびをしている顔、遊んでいる様子など動きの1つ1つに無邪気な愛嬌がありますね。お腹がすいてもマルコを起こさず自分で食べ物を調達しに行くし、どんな時でもマルコを見捨てて逃げないし、まこと愛すべきお猿さんです♪
でもそれだけに、私は牛車のあのシーンが今でもトラウマになってます。何の悪さもしていないアメデオをムチで追い立てる牛車の若い奴。アメデオが逃げ惑うのを傍で笑いながら見ている牛車のオヤジ達・・・。
手の平サイズの子猿にとって、大きなムチが飛んで来るのは死ぬほど怖かった事でしょう。直撃なんか食らったら命が無い事は確実ですからね・・・(冷汗)。弱い愛しむべき子猿に対してそういう仕打ちができるこの連中の神経を、私は今だに疑います。
まあ連中も、牛車の生活で苦労してきてるだけに、苦労知らずに育ったように見えるマルコが気に入らなかったのかもしれませんけど、筋違いの行為ですよ(あの若いのも、最後は仲良くしてくれましたけどね)。
投稿: A-chan | 2007/10/28 02:43
いらっしゃいませー。
アメデオの活躍は素晴らしいですね。ペッピーノ一座も助けたし、マルコも助けたし。
あのシーン、笑っているあの連中は憎たらしいのですが、一応プロの身としては、逆にその生々しさに感心します。お約束キャラ的に演出されてたら、あの後いいシーンがあっても、嘘っぱちに見えたことでしょう。むかつきながらも、さすが、上手いなあ、と(笑)。
投稿: かわせ | 2007/10/28 03:19
こんにちは。お久し振りです。
初めての書き込みから4年振りになりますが、マルコに再燃焼し始めてそちらが懐かしくなり、再び参りました。
牛車の連中もですが、マルコに対して罵詈雑言を投げかけたお屋敷の執事も語り草ですね。この方のイタリア人に対するイメージは相当悪いようです。
主人の留守が長期の場合、当然執事が屋敷の全ての事を取り仕切るので、マルコの事情を聞いて馬車を出す事ぐらいできた筈ですが、この執事にはイタリア人は皆同じと考えているのか、イタリア人に協力する義理は無いと見て、素気無く追い返します。
こんな事がご主人に知れたらエライ事ですが、マルコの事を聞かれても、馬車は出してやった、後の事は知らぬと言いきれば良し。マルコが途中で行き倒れて命を落とせば、死人に口無しですからね。
この窮地があるからこそ、後半の同胞愛が大きく輝き引き立つのでしょうが、本当にあのお爺さんと再会しなければ、マルコは一体どうなっていた事か・・・(冷汗)。
これ以上被害者を出さない為にも、マルコもこの事は紹介状を書いてくれた人を通じてお屋敷のご主人に報告して、執事にイタリア人に対する考え方を改めさせるよう処置を取るべきですね。
投稿: A-chan | 2011/07/17 13:43
「乞食をやるならイタリアでやれ」は、名セリフですよね。
お母さんがアルゼンチンまで出稼ぎに行かねばならず、お父さんの仕事が重要になってる、当時のイタリアの不況を見事に表しています。
でも再放送で局によっては、言葉狩りにあって、消えちゃってる時があるんですよねー(^^;;)
投稿: かわせ | 2011/07/17 23:08