だしが命
漫画で交遊録三回目。今回は「アベノ橋魔法☆商店街」(2001/9~2002/8。原作GAINAX。脚本あかほりさとる。漫画出口竜正。講談社。)
担当している編集さんが同じだったので、お手伝いに行くことになった「アベノ橋☆魔法商店街」。僕はここでひとつの真理を確信するにいたるのです。
面白い漫画には本人が出ている。
ヒッチコックみたいに本人がどっかに出ているというわけじゃなくて。本人の人柄や感性、考え方が滲み出るもんだ、ということ。
前から思ってはいたんです。漫画家の人と知り合うようになって、ああこの漫画の作者だなー、と感じることが多かったから。それが出口さんに会って確信に。
渡辺先生は漫画のまんまなんですよ。ハーメルというよりはライエルやフルートなんだけど。でも出口さんは前作「女大太郎」のイメージから遠い感じだった。それが聞こえたんです。出口先生の声が原稿の中から。
主人公の台詞が先生の声で。
ということは、ここのとこに出口さんが出ていて、ここはこうなっててあーなってて。出口先生の感覚が分かった、というか。
考えてみれば人が描いてるんだから、どこかに本人が出るのは当然なんだけど、企画物だったり編集者が主導権を握ったりしていて個性を殺されている場合も多い。うまくいっている漫画は本人が乗れているから、それが素直に現れる。そこに漫画の成否の差があるなーと。
読むほうにも結構いると思うんですよ、その辺の匂いに敏感な人。作者が乗れているかどうか。体験からしてもうまくいった漫画は自分も乗れていて、言われたとおり四苦八苦しながらだとうまくいかない。
雑誌の都合があったり、変な横槍が入ったりして水を差される場合もあるんだけど、何とかうまく自分が乗れる状態で漫画を描かなきゃだめだなーと思うのです。
ちなみに、かわいい女の子に振り回されて、うれし困った顔をしている主人公が出口さんだと思います。どうでしょう出口先生。
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