ヒーローであれ
先週末、マリノス戦で嬉しい勝利がありまして、ウキウキで中断期間を過ごしているのですが。
その裏でこんなことが起きていました。
小屋松さんが痛んだマリノスの選手を慮ってボールを外に出したところ、「甘い」とか「勝ちたくないのか」等、厳しい声が寄せられたとのこと。
これに関して言うと、僕は完全に小屋松さんに賛成です。サッカーを戦争にしてはいけないと思っているからです。
スタジアムには強く勝利を追及する人だけではなく、気軽に見に来た人もいます。例えば家族連れのお客さん。そういう、ゴール裏ではなくバックスタンドやホームスタンドにいるファミリー層が、観客動員的にはとても重要です。そういう時にあまりにも殺伐としたスタジアムだと、気軽に子供を連れてこれなくなってしまう。
昔、イングランドでは酔っ払いのフーリガンが暴れに暴れスタジアムは殺伐としていたのですが、そこでプレミアリーグが設立、全席指定席にするなどフーリガンを締めだしました。他の施策とも相まって、プレミアリーグの観客動員はググッと伸びて、現在の観客動員は平均でスタジアムの収容能力の95%にまで達しているそうです。つまりどのチームもほとんど常に満員。すごい。
またもう一つ、実際に自分が感じたことも、理由になっています。僕は子供の頃、ものすごい巨人ファンでした。かなり沼にはまっており、一時期、支配下選手の名前とプレースタイルが全部頭に入っているほど。当時は地上波で巨人戦は全部中継していたので、当然全試合見ていた。そんな僕が、今ではすっかり野球から離れてしまっています。
きっかけは読売グループのトップに、渡辺恒雄、通称ナベツネが就いたこと。野球にまったく詳しくないという話なのに、読売グループは天下を取らねばという思想でガンガン口出し。政治力を使い球界のシステムも自分たち有利に変えようとしました。
それを見ていて、僕はふと思ってしまったのです。「これ、漫画だったら悪役のやることだよな」と。
それまでもちょっと怪しいところはありました。江川選手や元木選手の入団経緯とかですね。でもさすがにトップからその状態では、そんなところを応援できるわけがない。僕の好きだった選手もどんどん引退していきますし、それと共に愛も醒めていきました。一応他の球団に鞍替えしようかと応援してみたのですが、それまでほどのテンションにはならず、結果野球をほぼ見なくなったというわけです。
僕は極端な例でしょうが、巨人戦のテレビの視聴率が下がっていって、いつしか地上波での野球中継がなくなってしまったことと、まったく無縁ではないのではと思います。
そういう体験があるので、サッカーには心置きなく応援できる状態でいてほしい。なので戦争にしてはいけない。勝つためだったら何でもあり という状態にしてはいけないと、強く思うのです。
あと、勝つことだけがすべてになりスタジアムが殺伐とする弊害として、選手に対する罵詈雑言が増えるというのもあると思います。これも体験談からですけど、最初のJ2降格の時スタメンがほとんど出ていっちゃた惨状を見たおっさんサポとして、選手を人と思わない敬意を欠く声は百害あって一利なしだと声を大にして言いたい。
選手の発言が常に本音だと思ってる人は、ピュアだなあと思いますね。客商売なんだから、選手の「サポーターのために」が100%の本音のはずない。リップサービスと本音の間でグラデーションがあるはず。それをより本音の側に寄せるのは、サポーター次第。最近Jリーグで移籍が活発になっていますが、その中にはこれサポーター見限られたんではと感じるケースもあります。100%それが理由ではなくても、移れる機会があるならここはもういいやと思うことはあるんじゃないか。でも、本音は藪の中なんですよね。
だから、人と人とのよい感情交流ができる、そんなスタジアムであってほしいなと、ずっと考えているのです。
選手もサポーターもヒーローだ。そんな場所が最高。
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